感染管理の専門知識を持った薬剤師(感染制御専門薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師)が、感染制御医師、感染制御認定看護師、細菌検査技師と共に、週に1回院内ラウンドを行っています。
重症感染症や薬剤の効果が低い病原微生物が検出された患者さんを中心に、それぞれの職種が専門知識を発揮し、早期感染制御に努めています。また、院内での感染症の流行を未然に防ぐため院内環境ラウンドも行い、院内環境を整備しています。 近年ではCOVID-19感染症が猛威を振るっていることから、より感染制御が重要視されており、各職種が協力しあってチーム内での情報共有も迅速に行うようにしています。
広域抗菌薬と言われる、幅広い微生物に抗菌力がある抗菌薬(抗生物質)を使用している患者さんや、血液から病原微生物が検出された重症患者さんなどを毎日モニタリングし、感染制御専門薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師が感染早期から抗菌薬適正使用支援を行っています。最適な抗菌薬の提案だけでなく、抗菌治療終了時期や追加検査などの提案・支援も行っていますが、感染症は抗菌薬ひとつが患者さんの予後に大きく影響するため責任感を持って職務にあたっています。また、TDM(治療薬物モニタリング)が必要な抗MRSA薬については使用全例で血中濃度解析を行うだけでなく、血液培養の経過や病態の経過によって抗MRSA薬を必要とする場合はあらかじめ投与設計を行い使用提案することもあります。TDMでの抗菌薬投与設計は病棟薬剤師と協働し、医師へのフィードバックを行っています。
救命救急センター内のカンファレンスルームに多職種が集まり、救急病棟ICUに入院中の患者さんのよりよい治療について、活発な議論や意見交換を行っています。病気そのものの治療・薬物療法に関する事だけでなく、栄養管理やリハビリ、退院までを見据えた他施設との調整など様々な問題に対し、各職種からそれぞれの視点で意見を出しあう事で幅広い考えや知識・治療方針を共有しています。救急病棟担当薬剤師は患者さんの病態・臓器機能に合った薬剤の提案はもとより、症状から入院前内服薬による副作用の可能性を推測したり、注射剤の配合変化を防いだりなどしています。
患者さんのからだの症状(痛み、息苦しさ、だるさなど)や精神的あるいは心の問題(不安、落ち着かない、眠れない、イライラするなど)でつらい時期を過ごされることがあります。緩和ケアチームは、入院療養中、外来通院中の患者さんのさまざまな問題をサポートするためのチームです。緩和薬物療法認定薬剤師が中心となり、鎮痛薬や疼痛緩和などの薬物療法の専門家としてだけでなく、疼痛以外の症状についても医師や看護師などに対して専門的なアドバイスを行いチーム医療の一員として活動しています。
薬剤師・医師・看護師・社会福祉士・栄養士・事務職員などの多職種が週1回、外来患者さんの抗がん薬治療に関するカンファレンスを行い、チーム医療によって患者さんに安全で安心できる医療を提供できるよう努めています。その中で薬剤師は、各薬剤による副作用の対策・処方提案だけでなく、薬剤の最新情報やエビデンスなどの薬剤情報の発信を積極的に行っています。
NSTとは、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士等が協力して患者さんの栄養状態の改善を支援するチームです。すべての病気において患者さんの栄養状態は、治療の効果や合併症、副作用の頻度に大きく影響します。薬剤部には栄養療法に専門知識をもったNST専門療法士がおり、特に輸液による栄養療法や栄養薬剤の使用方法など患者さんの状態にあった栄養療法支援を積極的に行っています。
褥瘡は床ずれともいわれ、寝たきりあるいは麻痺のある患者さんにできやすく、また放置すると悪化し治療がむずかしくなるため、適切な予防・治療が大切です。PUTは、褥瘡対策を通じて医療の質の向上に貢献するために、褥瘡リスク群の発生予防と早期治癒を目的として活動するチームです。患者さんの栄養状態と深く関係があるため、NSTと連携して活動に当たっており、薬剤師は褥瘡治療の薬剤(塗り薬、貼り薬)などのアドバイスを行っています。
一般病棟におけるせん妄や抑うつといった精神科医療のニーズの高まりから、当院では精神科リエゾンチームとして多職種(精神科医師、薬剤師、看護師、臨床心理士、栄養士、精神保健福祉士)協同での回診を行っています。
ラウンドは主にせん妄や認知症の行動・心理症状(周辺症状)に対して行っており、入院患者の精神状態を把握し、精神科医療を提供することによる早急な症状緩和と早期の退院を目的としています。
患者が高齢者であることが多いので、代謝・排泄能の低下を考慮した薬物療法の提案や向精神薬を中心に過剰な投薬の見直しなど、薬剤師の専門性を活かした介入を行っています。
当院では、神経内科医師、認知症看護認定看護師、社会福祉士、管理栄養士、薬剤師で構成された認知症ケアチームラウンドを行っています。薬剤師は、薬剤による傾眠や過鎮静等がないか副作用の確認を行い、嚥下機能の低下など状況に合わせた薬剤の提案を行っています。適性な薬物療法により認知症の悪化を予防し身体疾患の治療を円滑に受けられるよう支援しています。
排尿ケアチームは泌尿器科医師、看護師、理学療法士、薬剤師で構成されており、尿道カテーテルを留置中または抜去後の速やかな尿路機能回復を目的に活動するチームです。
薬剤師は入院時の持参薬や使用している薬剤に頻尿・排尿困難を引き起こす薬物が無いか確認を行い、ラウンドに参加します。尿路機能障害の程度によっては薬物治療が開始されることがあり、チーム活動を通して薬物治療の提案や効果や有害事象の確認、チーム内で情報を共有しています。このように薬物治療に関して提言し、より円滑にチーム活動が行えるように努めております。
糖尿病の患者さんは増え続ける一方で、大きな社会問題となっています。当院薬剤部には糖尿病療養指導士の資格を取得した薬剤師がおり、糖尿病チームの一員として活動しています。定期的に開催される多職種カンファレンス(医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・検査技師・薬剤師などが集まって、患者さんごとの糖尿病治療について検討する会)に参加したり、糖尿病教室でお薬についてお話ししたり、のみ薬やインスリンについて個別に説明や指導を行うなど、糖尿病患者さんの治療のお手伝いをしています。
日本赤十字社の大きな使命ともいえる、災害時の救護活動への貢献や日ごろからの災害派遣に対する準備が必要なのは、薬剤師も例外ではありません。日本DMAT(災害派遣医療チーム)、日赤DMAT、赤十字救護班に所属する薬剤師がおり、自衛隊機を用いた広域医療搬送訓練や、災害拠点病院としての災害時地域医療に備えた訓練に参加し、日々迅速・適切な対応が取れるように研鑽しています。
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