なにかお探しですか?

切らない乳がん治療

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法を開始します!


 当院では、早期乳がんに対する新しい治療法として、ラジオ波焼灼療法 (Radiofrequency Ablation Therapy:RFA)を開始いたします。この治療法は、乳房を切除せずに外見を保ちながら治療できる画期的な方法です。2023年7月7日に厚生労働省から承認され、同年12月より保険診療として行えるようになりました。

 当院は、2024年10月に日本乳癌学会から乳がんRFAの実施医療機関として承認され、同年11月より治療が可能になりました。2024年11月時点では、滋賀県内でこの治療を行うことができるのは、当院を含めて2施設のみとなっています。

 治療の対象は、基本的に乳がんの大きさが1.5cm以下で、乳房から一番近い腋にあるリンパ節への転移および遠隔転移(がん細胞が最初に発生した場所(原発巣)から血液やリンパの流れに乗って別の臓器に移動し増えること)が認められない限局性乳がんの患者さんです。詳細は診察時に説明させて頂きます。

 治療方法としては、まず全身麻酔下でセンチネルリンパ節生検(乳房内から乳がんの細胞が最初にたどり着くリンパ管を摘出し、がん細胞であるかどうかを顕微鏡で調べる検査)を行い、超音波画像を用いて位置を合わせて直径1~2㎜の電極針を刺入し、約472kHzのラジオ波電流を流して約70度で約10分加熱し腫瘍を焼灼します。施術時間は1時間程度、入院期間も2~3日と短期間です。これまでの臨床試験から、RFAは従来の乳房温存手術と同等の根治性(がんを取り除くこと)を持ち、従来行われている手術に比べて患者さんの体への負担を減らした体に優しい治療であるため、施術後の痛みや出血も少なく、施術後の美容的な仕上がりを高く保てることが確認されています。 施術後は、従来の乳腺部分切除術と同様に放射線療法は必須で、必要に応じて薬物療法を行います。また、腫瘍が残存しているかを確認するため、放射線治療後にがんであった部位の組織を採取して、顕微鏡で調べる検査を受けることが必須になります。検査結果でがんの残存が認められた場合には追加の手術が必要となります。

 当院の乳腺外来では、RFA認定医がRFAと従来の標準的な手術療法について丁寧に説明し、患者さんが十分な理解と納得の上で最適な乳がん治療を選択できるようサポートさせていただきます。

日本乳癌学会乳腺専門医 中村 誠昌

戻る