急に手足が動かなくなったり、しびれたり、話せなくなったり、あるいは意識がもうろうとしたり場合によっては意識がなくなるといった発作や急に頭が痛くなるといった症状が突然生じるものを脳卒中と言います。
加齢、遺伝、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、過度の飲酒など。これらのうち加齢、遺伝は変えることが出来ませんが、血圧のコントロールを行う、糖尿病をコントロールする、適度な運動を行い体重をコントロールする、タバコをやめる(減らす)、飲み過ぎに注意するなど日常生活で脳卒中を防ぐために皆さんが行えることが多くあります。
出血の場所により被殻出血、視床出血、橋出血、小脳出血、皮質下出血に分けられます。高血圧が原因の事が多いものですが、脳腫瘍や血管の異常が原因の場合もあります。
CTで診断が可能です。特殊な出血が疑われる場合、MRIや脳血管撮影を行って原因を突き止めます。
血圧の管理など保存的(手術をせずに)に治療を行いますが、出血が大きい場合、救命目的で手術を行います。それほど出血が大きくない場合には、開頭をせずにCTで出血の部位を確認しながら、細い管を刺入し出血を取り除く治療を行っています。出血の原因が腫瘍や血管奇形などの場合には摘出術や放射線による治療を行います。
ほとんどの場合脳動脈瘤の破裂により起こります。多くは内頚動脈、中大脳動脈、前交通動脈あるいは椎骨・脳底動脈に発生します。『突然、激しい頭痛が生じた』、『首筋が急に痛くなった』という場合がほとんどです。
CTでほとんど診断が可能です。くも膜下出血と診断した場合、脳血管撮影を行い、出血の原因となった脳動脈瘤を検索します。90%以上で脳動脈瘤が発見できます。
脳動脈瘤クリッピング術: 全身麻酔下に、頭の骨を開け(開頭)、顕微鏡下に脳の深部にある脳動脈瘤に到達し、脳動脈瘤の根元に金属製のクリップをかけて再出血を予防します。この手術の目的は再破裂を予防すること(再破裂すると命に関わる危険性が極めて高くなります)で、最初の出血の程度が強ければ手術自体で再破裂は防げても、命に関わったり、重篤な後遺症を残す場合もあります。また、最初の出血の程度が強いものほど多くみられますが、脳血管攣縮が半数程度の患者さんで認められ(4日から14日頃までに起こってきます)、たとえ手術が上手くいっても、その後に言語障害や麻痺、意識障害が生じて来て、永続する後遺症となる場合があります。
コイル塞栓術: 直接クリッピング術が困難な動脈瘤の場合や患者さんの状態によっては、カテーテルを足の血管から入れ、レントゲンで確認しながらコイルを動脈瘤内に留置する新しい治療法が1997年に保険適応となり、当科でも適応がある症例に対して積極的に施行しています。クリッピング術に比較し、高齢の方や全身状態の良くない方にも施行可能です。最近の報告では開頭手術に比較して治療成績が良好であると発表されていますが、長期的な治療効果については、現時点では確立されていません。
本院では神経内科で主に内科的治療を行っていますが、発症から短時間しか経過していない(3時間以内)、70歳以下の患者さんでは、状態によっては超選択的血栓溶解療法の治療が可能な場合があり、神経内科医と協力の下、慎重に治療を行っています。また、脳梗塞の再発予防として慢性期において、十分な適応を考慮した上で、頸動脈内膜剥離術、浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(バイパス手術)も脳神経外科で治療を行います。
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