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再生医療外来

はじめに

加齢による膝の痛みに悩んでいる方は非常に多くいらっしゃいますが、手術を受けたくないからと痛みを我慢されている方が多くいらっしゃいます。これまでは投薬、リハビリなどの保存療法だけで症状の改善がみられない場合、手術という選択肢しかありませんでした。ところが、自分自身の血液を用いた新しい治療法として再生医療が期待されています。そこで、変形性膝関節症による膝の痛みを治療する専門外来として、再生医療外来を開設いたしました。

再生医療外来について

変形性膝関節症に対する治療の現状

現在、関節の変形の程度が軽い変形性膝関節症の患者さんに対しては、痛み止めやヒアルロン酸などの関節内注射といった薬物療法を中心とした保存療法が多く選択され、症状が改善される方もおられます。しかし、保存療法を続けても症状の改善が見られなかった場合、これまでは手術療法しかなく、治療効果に満足されていなくても手術を受けたくないからと痛みを我慢している方がたくさんおられました。しかし、近年新たな選択肢として加わった再生医療が期待されています。

変形性膝関節症5段階

変形性膝関節症に対する再生医療とは?

再生医療と聞くと、軟骨が元のように戻ったり、損傷した骨が治ったりすると思われたり、そのような印象を受けるかもしれません。後述するPRP療法は再生医療と言われますが、どちらかと言うと自分由来の炎症を抑える成分を関節内に入れることで、生じている炎症を抑える効果が期待されている治療であり、完全に傷んだ軟骨がどんどん再生する治療法ではありません。

変形性関節症に対する再生医療は、PRP療法と呼ばれています。PRP療法は患者さんご本人から採血した血液を遠心分離機にかけ、抽出した血小板を多く含む血漿(けっしょう)であるPRPを取り出して、患部に注射する治療法です。血小板は出血した際に血管を修復する作用のある血球の一つであり、PRP療法は、この修復する力を利用したものです。最近ではプロスポーツ選手の治療に使われており、有名となっています。

当院での再生医療

当院ではPRP療法(APS, PFC-FD療法)を行うことが可能です。(保険適応外(自費診療))PRP療法の中でも、APS療法はPRPから更に特殊な脱水処理をすることによって、〔炎症を抑えるサイトカインや成長因子を高濃度に濃縮したもの〕を関節内に注入する治療法で、次世代型のPRP療法と言えます。APS療法は、厚生労働省が定める再生医療法(再生医療の安静性の確保等に関する法律)のもとで、多くの審査を受け安全であると届出が認められた施設でしか治療を行うことができません。使用するのは、ご自身の血液なので副反応などの有害なことが起こる可能性は低いと言われています。また、当院ではPRP療法の中でも、フリーズドライ加工して抗炎症性サイトカインのみを利用するPFC-FD療法などの使い分けも行っています。

APS療法
PFC-FD療法

受診方法

患者さん自身で再生医療外来の予約をすることはできません。まず整形外科外来を受診いただき、担当医にご相談下さい。(他院にてかかりつけの患者さんは、かかりつけ医にご相談のうえ、当院の整形外科外来をご受診下さい。)担当医の判断で、適応のある患者さんに再生医療外来のご案内をいたします。詳しくは下記ファイルをご覧ください。

担当医より一言

これまで投薬、リハビリや関節注射をしても症状の改善が見られなかった場合、手術療法しか方法がありませんでした。PRP治療はこれまで膝の痛みが従来の方法では改善しなかった患者さんや、手術になかなか踏み切れなかった患者さんにとって新たな選択肢の一つになると言えると思います。ただし、自費診療でもあり、全ての方に効果があるわけではありませんので、まだまだ敷居が高い治療法かもしれません。

しかし、関節の痛みが継続すると旅行や外出することが辛くなり、家に閉じこもりがちとなってしまいます。最近の研究では、歩くことが認知症を予防する効果があることがわかっています。これから来たる高齢化社会において、健康かつ生きがいを維持する生活を送るためには関節の痛みを減らすことはとても大切です。痛みがあることを諦めたりせずに、ご自身で納得した治療法を選んでいただきたいと思っています。

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