放射線科部
概要
放射線科部ではX線撮影・CT・MRI・X線透視・超音波・血管造影・核医学・放射線治療の各分野で画像診断・治療業務を担当しております。当院は最も重症の患者を24時間体制で治療にあたる第三次救急の指定を受けているため、夜間、休日、365日いつでも、すべての検査を行えるように当直待機体制を整えています。特に救命救急センターには外来診療部とは別にX線撮影・CT・MRIが配備されています。また血管造影検査室は救命救急センターに隣接しているので心筋梗塞や脳卒中など日中、夜間かかわらず迅速に対応し、急性期脳梗塞ではCT・MRIをはじめ血管内治療も緊急対応しています。
私たちは、日々研鑚し放射線業務に関するさまざまな資格・認定を取得して、より良い精密な検査の実現を目指しています。そして、安全で安心できる高度な医療を提供しています。
X線撮影
X線を胸部・腹部・骨・関節等に照射し画像にする検査です。撮影室で行う撮影の他に、病棟でのポータブル撮影、手術室での透視・撮影などを担当しています。当院ではDR(Digital Radiography)装置を導入しており、コンピュータ上で画像処理を行い、各診療科・病棟に診断価値の高い画像を提供しています。
乳房検査
近年、乳がんは日本人女性で12人に1人の割合で発症するといわれ、発症率としては胃がんを抜いて最も多いがんとなりました。しかし、がんの病期(ステージ)の早いうちに発見・治療を行えば転移などは無く乳房も温存し、生存率も高くなる統計が出ています。
今日、乳がんの発見・診断には専門医師による視触診と乳房X線撮影(マンモグラフィ)および超音波を組み合わせておこなうことが推奨されており、必要に応じてMRI検査、細胞や組織の検査なども併用されます。
マンモグラフィは、視触診だけでは分からないような初期の小さな乳がんの発見に力を発揮します。乳がんは乳腺の中に発生するため、できるだけ乳腺を薄く均一にして撮影する必要があります。そのために乳房をできるだけ引っ張り出して、圧迫させていただきます。
圧迫の際には多少の痛みが伴うことがありますが、感じかたは人それぞれです。なるべく負担の掛からないように撮影させていただきますので、ご協力をお願いします。
CT
CT(Computed Tomography)とは、体内照射し透過してきたX線の量を厳密に測定した値を元にコンピュータで計算し人体の断面の画像を得る検査です。
わずかなX線吸収の差も検出でき全身のあらゆる場所の診断に役立っています。さらに、コンピューターで画像処理する事によりさまざまな方向の断層画像、3D画像を作成して診断価値の高い画像を提供しています。また、造影剤を使用することにより、血管3D(脳・体幹部・心臓)や病変の質を区別するために必要な情報を提供しています。
また、AEC(自動露出機構)・ODM(目的臓器被ばく低減機構)・逐次近似応用再構成などの機能を駆使し被験者の被ばく線量の最適化に努めています。
MRI
MRIは強い磁力と電磁波を利用した断層撮影法です。CTと比べ、放射線被ばくの心配がなく、また組織の違いを描出する能力が高く、あらゆる角度の断面が撮影できます。短所として、検査中の騒音は非常に大きく、一回の撮影に時間がかかります。また金属を持ち込んでは検査ができませんので、検査前にいくつかの質問をさせていただいています。MRI装置は救命センターにも配備しており、脳卒中などの検査は迅速に行えるようになっています。
X線透視
X線透視画像をテレビモニタに映し、実際の動きを見ながら行う検査です。当院では、FPD方式(3台)、I.I方式(2台)で、胃・大腸のバリウム検査、PTCD・PTGBG等のドレナージ検査、神経根ブロック・ミエログラフィ検査、泌尿器科系検査、内視鏡検査と同時に行うERCPなどを行っています。
超音波
超音波(エコー)を使い、体のあらゆる所を観察・鑑別する検査です。 被ばくや痛みを伴わない安全性の高い検査です。主に上腹部(肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓など)、下腹部(前立腺・膀胱・子宮・卵巣など)、頸部(唾液腺・甲状腺など)、乳房を検査しています。必要に応じて生検やドレナージ・RFA(ラジオ波焼灼治療)も行っています。
血管造影
血管造影検査とは、血管の形態や血行動態を調べる検査です。足の付け根や肘や手首などからカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、造影剤と呼ばれる薬剤を注入しながら血管の撮影を行います。
主に、頭頸部血管造影検査、心臓カテーテル検査、胸腹部血管造影検査、四肢血管造影検査、ペースメーカー埋め込み、嚥下造影検査などを行っています。また診断だけでなく、血管の狭くなっているところや詰まっているところへカテーテルを入れ、狭くなった血管を拡げたり開通させたりする治療、血管にできる瘤や腫瘍に栄養を運ぶ血管を詰める治療といった血管内部から治療を行うIVR(Interventional Radiology:血管内治療)検査も行っています。
当院では、2台の血管造影検査室が稼働し、365日24時間対応しております。
核医学
RI(放射性同位元素)と呼ばれる放射線を出す物質を利用した画像検査です。
放射線を出す薬品を注射しその分布を画像にすることにより生体の機能を反映した画像を得ます。主な検査部位として、心臓(心筋)、骨(全身)、甲状腺、頭部(脳血流)、胸部(肺血流)等々あります。欠点は撮影時間が長いことと、他の検査と比べて解像度が悪いことです。診断支援ソフトなどの解析もくわえ、診断価値の高い画像を提供しています。
放射線治療
放射線治療では、病気を治す為や痛みを取り除く為に、普段撮影に使用している放射線より高いエネルギーの放射線を使用します。
放射線は目に見えず、体にあたっても何も感じませんが、体の表面や奥にある病気を治すことが出来ます。病気の細胞は放射線にあたると容易に死滅してしまうのに対して、同じ量の放射線があたっても正常な細胞の受けるダメージは少ないので、病気の細胞を取り除くことができるのです。
手術をすれば大きな傷跡が残り、またそのために体の働きが損なわれたりするような場合でも、放射線を使えば体をほとんど傷つけずに、そして正常な機能を損なわずに治療することが出来ます。
最近では乳房温存手術後に併用して放射線治療を行う事例も増えてきております。
治療時の注意事項
★治療中に身体が動きますと、患部に十分な放射線があたらなかったり、まわりの正常部分に悪影響をおよぼす可能性がありますので動かないでください。 もともとの病気のため痛くてじっとしていられない方は、あらかじめ申し出てください。
★放射線治療は決められた回数の治療を終えて、はじめて一定の効果がでるものです。途中でやめてしまうと効果があらわれないばかりでなく、その後の治療に支障をきたすことにもなりますので、決められた回数の治療を全部受けるようにしてください。
骨塩定量
【骨密度検査とは?】
骨を構成しているカルシウムなどの量(骨量)を測り、骨の強度を調べる検査です。この検査は、X線を照射して骨密度を測定する方法 (DXA法)で、他の方法(超音波法、MD法、CT法など)の骨密度検査と比べて最も精度の高い検査方法とされています。骨粗鬆症診断のガイドラインでも推奨され、骨折のリスクをよく反映する部位である腰椎と大腿骨頚部(股関節)で測定を行います。骨粗鬆症は、自覚症状が無く知らないうちに進行することがほとんどです。自分の骨がもろくなっているかどうかは、外見からではわかりません。背中や腰の骨などは、気付かないうちに折れてしまっている場合もあります。骨折を起こし、寝たきりになってからでは遅いので、定期的に骨密度測定を受けて、自分の骨の状態を確認しておく必要があるのです。
【骨密度検査はどのように行うのか?】
- 腰椎・大腿骨頚部(股関節)で測定を行うため、検査着に着替えていただきます。
(ボタン・金属類(ブラジャー)・湿布類が測定に影響を与えるため) - 撮影台に仰向きに寝るだけで、息止めも必要ないのでリラックスして検査を受けていただけます。
検査中は、体を動かさないようにお願いします。 - X線の照射量は胸部レントゲンの1/6と低被ばくなので負担が少ない検査です。
- 検査時間は、腰椎・大腿骨頚部(股関節)で約10分程度、全身骨測定だけで約5分程度です。
【検査を受けるときの注意点は?】
- 手術で腰椎・大腿骨頚部(股関節)に人工骨頭などの体内金属がある場合には、測定部位を変更したり計測が行えないことがありますので事前にお知らせください。
- バリウム製剤を使用した検査(胃や大腸など)や核医学検査、造影検査を1カ月以内に行った場合には、骨密度の値に影響を及ぼす可能性がありますので、ご相談ください。
資格・認定一覧
取得資格 | 人数 |
---|---|
シニア技師 | 5 |
アドバンスド技師 | 4 |
放射線管理士 | 1 |
放射線機器管理士 | 2 |
臨床指導教員 | 4 |
医療画像情報精度管理士 | 6 |
X線CT認定技師 | 3 |
肺がんCT検診認定技師 | 2 |
検診マンモグラフィ撮影認定技師 | 8 |
胃がん検診専門技師 | 3 |
救急撮影認定技師 | 1 |
血管撮影・インターベンション 専門診療放射線技師 |
1 |
放射線取扱主任者(1種) | 2 |
磁気共鳴専門技術者 | 2 |