さて、感染症蔓延対策の一つとして混雑の回避が言われたこともあり、特に日常生活では団体行動よりも、個別行動が推奨されてきております。情報の伝達に関しても、マスコミによる全国一斉の情報発信以外にSNSなどインターネットを利用した個別、個人的な情報発信がさかんになってきております。医療においてもこの傾向はあります。ガイドラインなどにより医療の効率化と「全国どこでも、誰でも一定以上の質の医療が受けられる」という水準の確保がある程度進展してきたことと、遺伝子情報の医療への応用が進んできたことなどにより最近は医療の個別化が提唱されるようになってきています。医学的な問題以外にも個々人の人生観、目標、生活様式、家族・社会的環境などは皆異なっており、それに伴って最適な医療も変わってきます。個人の違いを尊重することはまさに赤十字の掲げる人道の精神であり、当院では単に「ガイドライン上の」ではなく個々の患者さんにとって最良の医療を提供するように心がけております。診療・治療・療養に関して思われることは何でもお伝えいただけると幸いです。なお、時間節約の意味もありますので、事前に要点をメモ書きするなどしていただけるとありがたいです。
高齢化や人口減により医療を取り巻く環境は厳しい状態が続いております。当院があります湖北地域においても、医師不足の解消には遠い状態が続いておりますし、2024年4月に本格実施されます医師働き方改革によりさらなるひっ迫も予測されております。これに対し、地域では病院間、病院-診療所、診療所間、医療-介護-福祉など連携での対応が強化されてきております。その中でもカルテ情報の共有手段であります「びわ湖あさがおネット」の利用では湖北地域は県内を常にリードしております。未登録の患者さんに対し、登録をお願いすることがあると思いますが、是非ご理解の上ご承諾いただきますようお願いいたします。検査、お薬、診断その他の情報を共有することにより、いつでも迅速で的確な医療を効率的に提供できます。
湖北地域は政府の進める地域医療構想でも重点支援地域に指定されております。当院としましても、赤十字の本社との協力の上、ほかの病院等との協議を進め地域に高度な医療を持続的に発展的に提供できるよう努力していく所存です。地域医療構想では、病院の機能分担、再編なども話し合われておりますが、地域ぐるみで健康を増進し、支えあうことも理念となっております。当院では地域包括ケア病棟などで取り組んでいる回復期の医療が、全国的に不足しておりその整備が急務とされていますが、回復期の主眼であるリハビリは広く考えれば日常の体力づくりもその中に含まれます。適度な運動、健康的な食事、社会活動などすべてが健康に役立つといわれていますし、病気や治療に伴う副作用、さらには老化への抵抗力を増やすとも考えられています。
長浜赤十字病院は、5疾病(がん診療、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、精神科疾患)全てと、へき地医療を除く4事業(救急、災害、小児、周産期医療)に、これからも全力を尽くして参ります。引き続き感染症対応でも力を発揮したいと考えていります。今後とも宜しくお願いします。