当院は設立以来赤十字病院として災害医療に関わってきました。その中で我が国の災害医療政策の大きな分岐点なる出来事が発生しました。それは1995年の阪神大震災です。当院も数多くの赤十字救護班を神戸に派遣しましたが、当時の救護体制では発災直後の超急性期に救護を届けることが出来ず、多くの方がその時期に亡くなったと言われています。
その時の反省を基に、インターネットによる広域災害・救急医療情報システム(EMIS)および「災害拠点病院」制度、災害医療チーム(DMAT)が全国に整備されました。当院も湖北地域の地域災害医療センター(地域災害拠点病院)として指定されました(滋賀県内10病院が指定)。赤十字の一員として、また県の災害医療の担い手として、万が一に備えて十分な機能の確保に努めています。
外来待合室には広域災害を想定し多数の傷病者の収容・治療が施せる空間が確保され、災害時には最大限の威力を発揮できるように日々の整備が行われております。
災害備蓄倉庫には、医療機器、薬品、衛生材料、食料を蓄え、災害派遣チームの派遣に必要な装備を整備しています。
日本赤十字社の災害救護活動には、赤十字の人道的任務として自主的判断に基づいて行なう場合と、災害対策基本法や武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律(国民保護法)における指定公共機関として、国や地方公共団体の行う業務に協力する場合とがあります。これらの災害救護活動を円滑に行うため、法律に基づき日本赤十字社防災業務計画や日本赤十字社国民保護業務計画を作成し、準備を整えております。
また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の未知の新感染症が発生した場合には、新型インフルエンザ等対策特別措置法における指定公共機関として、日本赤十字社新型インフルエンザ等対策業務計画に基づき、医療サービスの確保等の必要な対策を実施します。
当院を含め赤十字病院は、救護班(医師、看護師、主事の計6名)を常時派遣できる体制を組み、実際にさまざまな災害に災害救護活動を行い大きな信頼を築いております。
日本赤十字社は、災害時に備えて赤十字病院の医師、看護師等を中心に編成される救護班を全国で約500班(約7,000人)編成しています。災害が発生すると、ただちに救護班や災害医療コーディネートチームを派遣し、救護所の設置、被災現場や避難所への巡回診療、こころのケア活動、本部運営活動等を行います。
日本赤十字社は、被災者に配分するため、日頃から毛布、安眠セット、緊急セットを備蓄しています。
※これらの物資は、財団法人JKA等の助成を受けて整備しています。
日本赤十字社は、災害時にも血液製剤を円滑に確保・供給するため、各血液センターで必要な血液製剤を備蓄するとともに、全国的に血液需給を調整する体制をとっています。
日本赤十字社は、被災された方々への見舞金である義援金の受付を行っています。受け付けた義援金は、第三者機関である義援金配分委員会(被災自治体、日本赤十字社、報道機関等で構成)に拠出され被災者に配分されます。
DMATとは、2005年に我が国が災害医療の体制整備の一環として養成を開始した“災害急性期(48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた災害派遣医療チーム”です。当院はこのチームを配置するDMAT指定医療機関に指定されています。
主に災害拠点病院の医師、看護師、事務員ら5名程度で構成され、災害発生時には医療資器材を携行して被災地域内の災害現場、患者が集中した医療現場や広域医療搬送拠点(SCU)等において参集したDMATを有機的に組織化し、指揮命令を行うとともに消防や自衛隊、自治体災害対策本部等の関係機関との調整を行います。
日本赤十字社は、このDMATと被災現場で協働して活動を行っています。
当院は地域災害医療センターとして災害時の大量傷病者受け入れ訓練を始め、地元地域及び県内各地の災害訓練に参加し、多種多様な災害・事故などに対応できるように備えています。